オーストラリアビールの基本情報

オーストラリア ビール

オーストラリアビール基礎パーフェクトガイド!

目次

オーストラリアとビール

オーストラリアのビールシーンは非常にシンプルかつ国内における特徴が出ており非常に理解しやすいが、このページではまずオーストラリアビールに関する基礎を重要と思われる順に説明する。
まずはまとめ。

  1. オーストラリアのビール業界は寡占でメーカーはたった3社のみ!
  2. オーストラリアで最も有名なビールはビクトリアビター(Victoria Bitter)、通称VB(ブイビー)と呼ばれるものでその次に フォーエックスゴールド (XXXX GOLD)が続く。
  3. 各ビールブランドは地域との結びつきが非常に強い。日本にはない特色だ。
  4. 2000年頃からクラフトビールと呼ばれる地ビールが急速に発展、2010年代頃からは各メーカーを脅かす存在に。ビールの消費量が年々減少する中でクラフトビールの消費量は2017年でもなお前年比10%以上の増加を見せる。
  5. オーストラリア人はビールが大好き。しかしビールの消費量は年々減り続けている
  6. 日本と違ってオーストラリアでは非常に多くの種類のビールが飲まれている
  7. ジンジャービアなるビールが存在する!

以上の7項目を知ってあなたもオーストラリアビール通の仲間入を。
ここからは各項目の詳細について説明します。

オーストラリアのビール業界は寡占でメーカーはたった3社のみ!

「オーストラリアのビール業界は寡占でメーカーはたった3社のみ」と記載してみたがこの言い方はかなり乱暴というか大雑把な言い方であると認めざるを得ない。
西暦2000年頃まではこの表現でほぼ間違いなかったが、ご存じの通り、グローバル化が進む現代では世界中の大手ビールメーカーが各国のビール会社を買収するという事態が多く発生しており、単純にこのビールはこのメーカーによってつくられていると一言で表しにくい状況が発生している。

それでもオーストラリア国内のメーカーに目を向けると2022年現在であっても、この表現で問題ないと考える。
日本ではキリン、アサヒ、サッポロ、サントリー、オリオンの大手5社により国内ビールシェア99%以上を占めるがオーストラリアでもそれと似たような状況というわけだ。

オーストラリアの大手ビール3社は:

  • Lion(ライオン)
  • Carlton & United Breweries(カールトン アンド ユナイテッド ブルワリーズ)(通称「CUB (シーユービー)」)
  • Coopers(クーパーズ)

と呼ばれる企業だ。

上記3社中の2社、ライオンカールトンアンドユナイテッドブルワリーズ (CUB)はそれぞれ別にオーナー会社が存在し、ライオンの親会社は日本のキリンホールディングス(Kirin Holdings Company Limited)、カールトンアンドユナイテッドブルワリーズの親会社は同じく日本のアサヒグループホールディングス(Asahi Group Holdings, Ltd.)となる。
クーパーズだけはオーストラリア単独の家系による同族運営が続けられている国内唯一のメジャーブルワリーとなるが、シェアは上記ライオンと、CUBに比べ圧倒的に劣り、2020年頃でもわずか5%程しかなかった1
実にライオンとCUB(つまり、キリンとアサヒ)で90%を上回るシェアを握っている状態となっているのである2

しかしオーストラリアも2000年代ごろからマイクロブルワリーが造るクラフトビールの波が訪れ、大手メーカーもこれらを無視できない存在にまで成長を続けた。慌てた大手メーカーも続けてこれら有名どころのマイクロブルワリーを買収するという皮肉な状態に陥っている。
詳しくはオーストラリアのビールメーカーのページを参照ください。

ところでオーストラリアのビールはイギリスの開拓によって持ち込まれたのが始まりとなり、かつてはその歴史の中で非常に多くのビール醸造所が存在した。
その中には素晴らしいビール会社や今でも歴史に名を連ねる醸造所が多数存在する。本サイトではそのような歴史あるビール会社について随所で補足している。

オーストラリアで最も有名なビールはビクトリアビター(Victoria Bitter)、通称VB(ブイビー)と呼ばれるものでその次に フォーエックスゴールド (XXXX GOLD)が続く

日本で最も有名なビールと言われればシェアナンバーワンの「アサヒスーパードライ」となることに異論は無いだろう。
同様にオーストラリアで最も有名なビールと言えば歴史上支配的な地位を築き上げてきた「ビクトリアビター」という製品でその次に有名なのが「XXXXゴールド(フォーエックスゴールド)」と呼ばれる製品である。
この事実はまだこれからも当分揺るがないとオーストラリア国民誰もが信じている。
詳しくは各ビール製品内「ビクトリアビター」や「XXXXゴールド(フォーエックスゴールド)」のページを参考にしていただきたい。

各ビールブランドは地域との結びつきが非常に強い各ビールブランドは地域との結びつきが非常に強い 日本にはない特色だ

ビールブランドについてオーストラリアの人々はそのブランドがどこの州のどの都市で作られているものかを気にする。ビールの紹介がなされるときや、勿論普段の会話等でも焦点が当てられる事が多い。
これは日本ではなかなか見られない独特な文化であるが日本でも「オリオンビール」を語る時に唯一それが当てはまると考えていただいて間違いない。
オーストラリアではそれが更に根付いていると考えていただきたい。

例えばCASTLEMAINE PERKINS(カッスルメインパーキンス)という醸造所が保有するXXXX(フォーエックス)という有名なビールブランドがある。
このXXXXはクイーンズランド州のブリスベンというところにある工場にて製造される。
またSwan(スワン)というブランドは西オーストラリア州、パースにあるビール会社で作られる。

人々は会話の中でそれを気にしたりするのだが、例えばXXXXを指して「これはクイーンズランドのビールだよね。」だとか、「スワンってどこで作られるビールだっけ?」「パースだね。」等といった会話を楽しむ。この点は日本と大きく異るところである。

このように語られるようになった理由は、1901年、連邦国家としてのオーストラリアが誕生するより以前はそれぞれの植民地化された地域が独立した法律を持ち統治されていた為だ。
アルコールに関する法律もまた例外では無く、酒類の生産や販売はそれぞれの地域(州)のルールに従っていた。
また食料品や特産物もまたその土地に根付いたものが生産されておりビールも同様地域ごとに独立して進化を遂げていった。

1800年代の終わり頃にようやく鉄道が発達を始めたが、それ以前のオーストラリア大陸では商業のための往来には船が用いられた。
そのような状況であった事から、たとえ当時その地域に於いて最大のビール会社であったとしても現在のようにオーストラリア全土にまんべんなくビールを運ぶことが困難な時代が続いた。
地域が変われば飲めるビールはほぼそのエリアで造られるもののみだった。これが歴史的に根付きその習慣が現在まで残った。
そして例えば、スワンと言えばパース。XXXXといえばブリスベンなどと土地とセットで語られることが今なお続いている。

ビールの消費量はやはりその土地に根付いたブランドがその他の土地に比べ圧倒的多くなっている。
一般的には以下のブランド又はビール単品が次の地域として認知されており、オーストラリアビール通ならば最低でも抑えておきたい内容である。

New South Wales(ニューサウスウェールズ州)(NSW)

Northern Territory(ノーザンテリトリー)(NT)

  • NT Draught (単品)

Queensland(クィーンズランド州)

South Australia(南オーストラリア州)

Victoria(ビクトリア州)

Western Australia(西オーストラリア州)

Tasmania(タスマニア州)

2000年頃からクラフトビールと呼ばれる地ビールが急速に発展、2010年代頃からは各メーカーを脅かす存在に。ビールの消費量が年々減少する中でクラフトビールの消費量は2017年でもなお前年比10%以上の増加を見せる。

オーストラリアのビールメーカー」のページで説明しているとおりオーストラリア国内にも日本で言うところの地ビールを制作するような小さなビール会社が存在し、それらは「Micro Brewery(マイクロブルワリー)」と呼ばれ、そこで作られるビールはまた「Craft Beer(クラフトビール)」などと形容される。

しかしこのマイクロブルワリーが成長し始めたのはここ近年、2010年頃になってからで4、さらにその成長スピードは極めて著しい。
2016年、2017年でみても消費量では前年比10%以上の成長を続けている。
元々オーストラリア国内ビール消費量におけるクラフトビールの割合は非常に小さなものであったが、近年急激に多くのマイクロブルワリーが非常に高品質なビールを打ち出し、その人気は爆発的に増えていった。
ビールの消費量が毎年落ちていく中でのクラフトビール消費量増加は大手ビール会社を脅かす存在となってきた。
大手各社は成長著しいクラフトビール会社の買収に動き始めている。

ちなみに各年の大手ビール会社のビールとクラフトビールの消費金額は以下のとおりである。

分類2013年-2014年2017年-2018年
大手ビール会社のビール93億 豪ドル87億 豪ドル
クラフトビール11億豪ドル13億豪ドル

オーストラリア人はビールが大好き。しかしビールの消費量は年々減り続けている

オーストラリアはかつては世界有数のビール消費大国だった

オーストラリア人はじつにビール大好きな国民といえ、かつては世界でも有数のビール消費大国だった。
パブへ行けばそれこそ水のようにビールをがぶ飲みし、グラスを重ね続ける。
ビールはオーストラリア国内で最も飲まれているアルコール飲料で、アルコール販売額約140億ドルのうちの約4割をしめる。

また国民1人辺りの年間ビール消費量は2010年頃までは100リットルを超え、世界のビール消費量ランキング5でも常に10位以内という上位に名前をつらねた。

かつて1960年台では国内のビール消費は全アルコール消費量のうち70%近くにのぼった。
そんな時代があったのだ。

しかしながら国民1人辺りのビール消費量は年により例外はあるものの、トレンドとしては毎年減少を続け、2016年では約89.5リットルまで落ち込み、その際の順位は大きく後退し20位以下という結果となった。
かつて誰もがビール一辺倒だった時代から文化の成熟により好みが別れていったためだとも考えられるが、特にワインの消費が増えたため相対的にビールの消費量が落ちた事やライトビール消費量が減少してきた事に起因している。6
ビール消費量の低下今後も続いていくと考えられている。
ちなみにビールの次に飲まれているアルコール飲料がワイン、そのあとにスピリッツ(蒸留酒)とつづく。

日本国内でも若者のビール離れが叫ばれるが、オーストラリアでもまたビールの消費が落ち込んでいるということはしばしばニュースになったりもしている。
ビール消費量減少のトレンドはこれからも続いていくと考えられている。

以下オーストラリアのビール消費に関する数値情報を掲載。

オーストラリア国内に於けるアルコール消費金額とビールの割合

 年国内アルコール消費金額ビールの割合
2006      131.0億豪ドル44.9%
2007137.6億豪ドル43.8%
2008139.4億豪ドル43.9%
2009140.5億豪ドル44.4%
2010141.6億豪ドル43.3%
2011142.2億豪ドル41.8%
2012141.0億豪ドル41.2%
2013141.7億豪ドル40.8%
2014142.0億豪ドル41.1%
2015140.6億豪ドル39.5%
2016145.5億豪ドル39.9%

オーストラリア国民一人あたりのビール消費量と世界の順位

ビール消費量(L)順位7
19761422
19881137
2006107.5 
2007107.3 
2008107.0 
2009106.6 
2010103.5 
2011100.58
201296.511
201393.015
201492.419
201586.522
201689.4 

日本と違ってオーストラリアでは非常に多くの種類のビールが飲まれている

日本国内では、今でこそエールやIPAなどの種類が知られるようになったものの、かつては売られているビールのほとんどが下面発酵という製法で造られている「ラガータイプのピルスナースタイル」であった。
オーストラリアではふるくからエールやラガーを中心にスタウト、ポーター、ボック、その他非常に多くの種類(スタイル)のビールが飲めるというのが特徴である。
その為われわれ日本人がオーストラリア訪問の際、酒屋にて適当に選んがビールを購入すると、その都度全く異なる味わいに驚かされることがある。

また日本では上面発酵の「エール」などは値段が高めであることが多いが、オーストラリアではどのスタイルもまんべんなく販売されており、それらによる値段の大きな違いはない。

オーストラリアでよく飲まれるビールの種類はビールの種類のページを参考に

ジンジャービアなるビールが存在する!

そう。オーストラリアには「ジンジャービア」(日本語では「ジンジャービール」)なる飲み物が存在する。
詳細、震えておまちください!

—–以下 注釈

  1. それでもオーストラリア国内では超有名メーカーであり、間違いなく大手ビール会社に位置づけられる
  2. 2020年、ライオンが40%代、CUBが50%をごくわずか上回るくらいのシェアを握っている。出典:https://www.statista.com/statistics/1225527/australia-brewery-market-share-by-price-range/#:~:text=In%202020%2C%20the%20market%20share,as%20XXXX%20Gold%20and%20Furphy.
  3. タスマニア州の北部、南部まで語られることはあまりない
  4. もちろん2010年以前にもマイクロブルワリーは多数存在した。しかしそれらは現在ほど大手を脅かす存在ではなく、こだわったビールファンがあえて選ぶ少数派のための存在、といった認知しか無かった。
    普通の人は何も迷うこと無く大手ビール会社のビールを飲んでいた。
  5. 「国民1人当たりにおけるビールの年間消費量」でのランキング
  6. 「国民1人当たりにおけるライトビールの年間消費量」は2006年の13.2リットルから2016年では3.62リットルへ減少している。
  7. 国民1人辺りの年間ビール消費量が多い順での順位
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