オーストラリアの主要ビール会社3社
まず冒頭に、正確ではないがオーストラリアにおけるビール会社のイメージを簡単に説明する。
オーストラリアビールの基本情報のページ内でも語っている通りオーストラリアのビール業界は寡占であり、そのメーカーは3社しかない。日本に置き換えるとアサヒ、キリン、サントリーの3社でほぼ100%のシェアを持っているようなイメージだ。オーストラリアのそれら3企業はそれぞれ
である。
しかし実際はそれほど単純なものでもない。
このページではオーストラリアのビールの企業形態について詳しく説明していく。
オーストラリアのビール会社の分類、超大手とそれ以外
オーストラリアはその長くはない歴史の中で大変に多くのビール醸造所(ブルワリー)が生まれては消えていった。
初期の頃は個人が経営していたり、小規模な会社によって運営されていることがほとんどであった。1901年1月1日の建国以来1、酒に関する法改正などもあり、生き残れないところは他社へ吸収されるという道を選び、大きなブルワリーはより大きくなっていった。またその一方で、小さいまま運営を続けていく会社もあった。もちろんその中には多くの廃業の道を選ぶものもいた。
その結果、オーストラリア国内のビール醸造所は大きく2つの系統に分類されるようになった。
1.Major brewery(メジャーブルワリー)
2.Micro Brewery(マイクロブルワリー)/ Craft Brewery(クラフトブルワリー)
の2つである。
マイクロブルワリーとクラフトブルワリーは団体によって定義を定めているところもあるがほぼ同意で利用される。2022年現在ではどちらかというとクラフトブルワリーという呼び方のほうが定着しているように思われる。(ただし、規模などの言及のためあえて「マイクロ」の表現を利用するなど使い分けもある。)
メジャーブルワリーは大手ビールメーカーのことで上記の通りカールトンアンドユナイテッドブルワリーズ、ライオン、クーパーズの事をさす。
これらの企業が持つビールブランドは、テレビCMや、広告などを非常に多く打ち出し、オーストラリア国内の愛飲者であればほぼ100%誰もが知る企業だ。
マイクロブルワリー/クラフトブルワリーといった言い方も現在では日本語になっている程ではあるが、大手メーカー以外の小規模ブルワリーをこう呼んでいる。
また、それらの小さな醸造所で作られるビールは大手メーカーのものと識別するために「クラフトビール」や「ブティックビール」等と形容されることが多い。
このようにオーストラリアのビール会社は超大手3社とそれに比べれば超小規模のそれ以外のビール会社に分かれることになる。
下で詳しく説明するがクーパーズ以外の2社が非常に多くのブランドを保有しているため
1つのブランドを1ビール会社を勘違いをし、結果オーストラリアには多くのビール会社が存在する、と誤解される日本人もおられるがそうではないことをお伝えしたい。
このサイトで紹介するビールは主にオーストラリアに関するビールの基本情報、またメジャーブルワリーにフォーカスを当てているがマイクロブルワリーについては主要なところは余すところなく紹介をしてく。
ところでオーストラリアのビール会社は上記3社
オーストラリアの大手ビール業界も日本と同じく寡占である
冒頭説明の繰り返しになり恐縮だが
しかしそれら醸造所を所有する企業(会社)という意味では現在はたった1つを除く全てのブルワリーは大手2企業の傘下となって運営されている。
非常にわかりにく説明で恐縮だ。
誤解を恐れずわかりやすく言えば、メジャーブルワリーを持つ企業は3社のみしかない、ということである。 オーストラリアビール業界も日本と同じようにまた寡占状態なのだ。
オーストラリアと日本のビール会社の形態が大きく異なるため同列に扱うことはできないが、それでもあえてわかりやすく言ってしまえば「キリン」「アサヒ」「サッポロ」のみしかない。そんなイメージである。
オーストラリア国内のメジャーブルワリーを持つ3社を以下に紹介する。
メジャーブルワリーを持つ企業
1.Foster’s group(フォスターズグループ)
1つめは、アルコールやソフトドリンクなどワインを除く飲料を取り扱う超巨大ビバレッジ会社、フォスターズグループだ。 青いラベルが貼られた小さな瓶のフォスターズラガーは世界中で売られており見られた方も多いのではないかと思う。 フォスターズグループは2011年の12月にイギリスに本拠地を置く世界屈指のビール会社のSAB Miller(エスエービーミラー)に買収され、その傘下として再出発を果たした。 オーストラリアでのビールシェアは第1位を誇り、多くのブルワリーを保有する。
2.Lion Nathan(ライオンネイサン)
2つめは、ビールやワインをなどのアルコール飲料を多数取り扱う、オーストラリアのシドニーに本拠地を置く超巨大企業、ライオンネイサンである。 オーストラリア国内でのビールシェアは第2位。 その名の通りライオンをトレードマークとしており、こちらも数多くのブルワリーを持つ。
3.Coopers Brewery(クーパーズブルワリー)
3つ目が唯一、過去に一度も買収などされず、今もその株式がオーストラリア国内の同族ファミリーによって保持されているオーストラリア直系のビールメーカー、クーパーズブルワリーである。 オーストラリア国内第3位のシェア。 クーパーズだけは昔から代々続くファミリーによって運営されてきたため、ブランドもクーパーズブランド1つのみしか持たない。
マイクロブルワリーについて
上記3社以外はマイクロブルワリー(または、クラフトブルワリー)とよばれ、そのような小さなブルワリーで作られるビールは特別にBoutique Beer(ブティックビール)やCraft Beer(クラフトビール)とよばれ親しまれている。大量生産できないかわりに丁寧に仕上げられ大手メーカーの製品に比べると香り高く味わい深い製品が多いが、一般的にメジャーブルワリーのものよりやや価格が高めの傾向にある。オーストラリア国内には非常に数多くのマイクロブルワリーが存在する。
元々はマイクロブルワリーとして運営を続けてきたが有名になりすぎたため大手に吸収されたところも存在する。
例えば「マチルダベイブルーイングカンパニー」は非常に小さな形にて運営を開始したブルワリーであるが最終的にはフォスターズグループに買収されている(正確には、フォスターズグループに吸収される前のカールトン&ユナイテットブルワリーズである)。
————————-これ以下追記事項
しかしこれもまた当然のことであるが、もともとマイクロブルワリーとして立ち上げたのだが有名になりすぎたところも少なくない。
日本の国内で言えば、大手ビールメーカーではないがクラフトビールとしては超有名な「ヤッホーブルーイング」社があるように2、オーストラリアにおいてもマイクロブルワリーではあるが全国規模で有名になってしまった醸造所等も多数存在する。
そのようなブルワリーは上記大手企業に買収され、メジャーブルワリーの一員であることを大きく公表せずあくまでもマイクロブルワリーという形にこだわったプロモーションをしたりするなど皮肉めいた事実もある。
ビールのブランド名とブルワリーについて
オーストラリア国内でのビールブランドとそれを醸造する醸造所(ブルワリー)、そしてその醸造所を持つ企業の関係について、人々が持つ認知について説明する。
その前にまず日本のビール業界の形態から再度確認してみる。
日本のビール業界の形態
まず日本でのメーカーとビール製品の関係についてだが、これは非常にシンプルで例えばキリンビールを例に取ると以下のように考えられる。
キリンビールという企業から「キリンラガービール」や、「キリン一番搾り」、「キリンのどごし生」、等のビールや発泡酒、その他、第三のビール等が販売されている。ビール醸造所(ビール工場)については普段特に語られたり意識されることは無い。またキリンビールは持ち株会社キリンホールディングスの傘下であるが、これについても特に気にして語られることは少ない。
つまり、キリン一番搾りはキリンが作っている。アサヒスーパードライはアサヒビールが作っている、サッポロ黒ラベルはサッポロビールが作っている。
とこのように非常にシンプルな認知でははなかろうか。非常に簡単ではあるがイメージ言うと下図1 のような感じであろう。
再度キリンビールを例に取ると、キリンビール(株)と一番搾りやラガーの製品の間には醸造所(ブルワリー((ビール工場))という概念が存在する。しかし日本国内ではメーカーと商品との関係においてはそれが語られることはあまりない。

オーストラリアのビール業界の形態
それではオーストラリアでの人々の認知はどうであろうか。
オーストラリア国内ではビールを製造する醸造所(ブルワリー)の名前ががそのビールのブランド名であることが非常に多い。
例えばTooheys Brewery(トゥーイーズブルワリー)というビール醸造所があるのだが、ここで生産させるビール名にはすべて「Tooheys」が付けられ、それがブランドとなっている。
トゥーイーズが作るビールには
・Tooheys New(トゥーイーズニュー)
・Tooheys Extra Dry(トゥーイーズエクストラドライ)
・Tooheys Old(トゥーイーズオールド)
等があり、どの商品も頭に「トゥーイーズ」が付く。
ちなみにこのトゥーイーズという醸造所は上記、ライオンネイサンによって保有されている。
また、運営を続けるブルワリーではオーストラリア最古のCascade Brewery(カスケードブルワリー)を例にあげると、こちらで造られるビールブランドは全て頭に「Cascade」が付き、
・Cascade Premium Lager(カスケードプレミアムラガー)
・Cascade Pale Ale(カスケードペールエール)
等と「カスケード」の名が付く。このカスケードブルワリーはフォスターズグループによって保有されている。
もちろん例外もあり、ブルワリーの名前とは異なるブランド名をもつビールを製造するところもある。
例えばライオンネイサン保有のCastlemain Perkins(カッスルメインパーキンス)という醸造所が作るビールは全てXXXX(フォーエックス)というブランドで統一されている。
XXXXを知らないものはいないがこれがカッスルメインパーキンスという醸造所が製造しているということを知らない人々もいる。
フォスターズグループが保有する国内最大の醸造所カールトンアンドユナイテッドブルワリーズ(通称「CUB」)に限っては少々特別で、このブルワリーからは数多くのブランドが出されている。
これら、親会社、醸造所、その醸造所が作るブランドに関しては各メーカー紹介のページで詳しく説明しているのでそちらも参考にして頂きたい。
オーストラリア国内でビールメーカーや銘柄の話をする際、「私はフォスターズグループのビールが好きだ。」や、「私はライオンネイサンのほうが好きだね。」という会話が行われることはあまりない。
「私はトゥーイーズが好き。」といった感じや、「私はカスケードが好き、特にカスケードのプレミアムラガーが。」等と、ブランド名での会話が殆どである。
また、自分が好みのブランドを作るブルワリーがどの企業に保有されているかを知らない人も少なくない。
